大好きなひと。

2002年1月13日
この日は、愛する祖母のお葬式でした。
友人の中には、「シンガポール旅行はどうしたの?」って聞いてくる人もいました。
確かに、旅行にいけなかったのは残念だけど。
でも、そんなのはどうでも良かったです。
祖母が大好きだったから。

棺の中の祖母。
引き取られた伯父の家での軋轢、自らの病によってすっかりやせ細って小さくなっていました。

いくつになってもお洒落を欠かすことを嫌い、常に周りへの気遣いを忘れない。
優しすぎて、イヤなことをされても「イヤだ」と言えず、相手を攻撃したりできない人。
そんな祖母のことを悪く言うひとは、生前の頃から誰一人として居ませんでした。
そして私自身も、誰に憚ることなく「私は年を取ったら、あんなおばあちゃんみたいな人になりたいんだ」と言っていました。

一度だけ、挨拶に行っただけの姉の婚約者も。
関西旅行のとき、祖母の面会に付き合ってくれた私の親友も。
みんな、祖母のことを「すぐ好きになったよ」と言ってくれました。

祖母の戒名には、「麗室(れいしつ)」という言葉が入っています。「優(=優しい)」の文字も入っています。
戒名をつけてくれたお坊さんが、お葬式で言ってくれました。
「私もこの方(祖母)には、優しくしてもらいました。そして、本当はこの『麗室』というのは、私は若い女性に付けることが多いのですが、彼女はいつも身奇麗にしてらっしゃったので、この言葉を戒名に入れました」。

とても嬉しかった。
祖父が逝ってから、祖母は体調を崩してしまい、伯父(彼女の息子)の家に引き取られていました。
伯父の奥さんが意地悪で、祖母から化粧道具を取り上げてしまい。
洋服も趣味の悪い、スーパーで売っているような安物のジャージに替えられ。
祖母自身が元気だったら絶対にしないであろう、粗末な身なりになっていました。

ホントはお洒落が大好きなこと。
祖母が優しい人であること。
いくら付き合いが長くても、1ヵ月に一度、祖父のための読経、そして法要のときにしか、祖母とは会ってなかったはずのお坊さんが、彼女のことをちゃんと見ていてくれた。
そのことが嬉しくて嬉しくて、また涙が出ました。

本当に、おばあちゃんの孫に生まれてよかった。

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