風紋

2003年10月12日
乃南アサの作品を読みました。

上・下巻の2冊で、上巻のみ、自宅の本棚で発見。
上巻を読み始めたら、一気に引き込まれてしまいました。
通勤電車で、本を読むでもなく音楽を聴くでもなくボーっとしてる時間が大嫌いな私としては、本当に
幸せでした。

それにしても泣けて泣けて、電車の中で大変でした(笑)

物語は、「ごく平凡な」主婦が、他殺体で発見されることから始まる。
この話の中では、殺人事件は、あくまで物語の「軸」にしか過ぎません。
また、どのようにして殺されたのか、犯人について、事件が起こるまでの経緯もあまり関係ありません。

スポットが当たっているのは、常に被害者の「遺族」と、加害者の「家族」です。

なんとも重いテーマでした。
それまで、問題はあっても注目をされることなんてなかった家庭が、家庭の「傷」「裏側」が、死によって次々と世間に晒されていく。

被害者の遺族も、加害者の家族も、取り残されていく中で、マスコミや周りは無関係に騒ぎたて、論じられていく。

「でも、どうにもならない」。

被害者の少女の言葉で、
「犯人?なんのこと?私は、お母さんに生きていてほしかっただけ。」
というのがあります。

生きていてさえくれれば、憎むことも愛することも、泣くことも笑うこともできる。

あなたも私も。

そう、生きていてさえくれればいい。

・・・なんて日常ではなかなか思うことはありませんが、こんな本を読んだ日には、考えさせられました。



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